「世界の小林」とは?巨人・小林誠司がWBCベストナイン賞で世界にしか通用しない男に?
打てて守れる伝説的な捕手阿部慎之助の後継者として巨人に入団したのが小林誠司選手です。WBCの大会で大活躍したため「世界の小林」と呼ばれるものの、今では皮肉の意味で呼ばれます。小林誠司選手が「世界の小林」と呼ばれるようになったいきさつについて紹介します。
目次
「世界の小林」とは誰のこと?
「世界の王」「世界のイチロー」「世界の大谷翔平」など、野球の母国アメリカのメジャーリーグで活躍したり、日本のプロ野球界でアメリカの大リーガーの記録を破ったりする選手が現れると「世界の〇〇」と称賛の意味で呼ばれることも多いです。
小林誠司選手もその一人であり「世界の小林」と呼ばれています。小林誠司選手がそのように呼ばれる理由は、当然アメリカ人をうならす活躍をしたからです。しかし、時には皮肉を込めた意味合いで呼ばれることもあります。
小林誠司は巨人の捕手
小林誠司選手は、巨人で捕手として活躍しています。小林誠司選手は広島の名門広陵高校で捕手に転向し、甲子園大会準優勝を経験しました。
その後、同志社大学、日本生命と活躍の場を移し、日本生命時代は捕手として社会人ベストナインに選ばれています。
衰えが見え始めた巨人の阿部慎之助選手の後継者として、巨人は小林誠司選手をドラフト会議で1位指名を受け入団しました。
小林誠司のプロフィールと成績
巨人の捕手・小林誠司選手のプロフィールを紹介します。
本名 | 小林誠司 |
愛称 | ??? |
生年月日 | 1989年6月7日 |
現在年齢 | 33歳 |
出身地 | 大阪府堺市南区 |
血液型 | O型 |
身長 | 178cm |
体重 | 86kg |
所属球団 | 東京読売ジャイアンツ(2014年~) |
主な成績 | 通算722試合、1702打数354安打、打率.208、本塁打15、打点141 ゴールデングラブ賞(1回) 最優秀バッテリー賞(2回) オールスターゲーム敢闘選手賞(1回) |
小林誠司が「世界の小林」と呼ばれる理由は?
小林誠司選手は、巨人の正捕手になってもらいたいという期待で一位指名されて入団します。持ち前の強肩で盗塁を阻止し高い守備力を見せるものの、阿部慎之助選手に比べると打撃力がやや劣るため、野球関係者からの評価は割れていました。
そのような小林誠司選手が「世界の小林」と呼ばれるようになったのはなぜか、その理由を紹介します。
WBC侍ジャパンの日本代表に選出
小林誠司選手が「世界の小林」と呼ばれるきっかけになったのは、2017年に開催された野球の世界一を決める大会WBC(ワールドベースボールクラシック)で侍ジャパンの日本代表に選出されたことです。
小林誠司選手は当初三番手の捕手として選出されましたが、大野奨太選手と炭谷銀仁朗選手の調子が悪かったため、繰り上げでマスクをかぶることになりました。巨人での調子の悪さが嘘であるかのように、小林誠司選手はWBCで大活躍します。
打率首位でWBCベストナイン候補にも
小林誠司選手は、自慢の強肩を活かした盗塁阻止だけでなく、ピッチャーを好リードで引っぱり、ストレートとフォークが持ち味の千賀投手のフォークをキャッチして捕逸せず、苦手なバッティングでも中国戦でホームランを打つなど大活躍でした。
日本チームは準決勝で破れてしまい優勝は逃しましたが、小林誠司選手はWBCを通して活躍し、打率はチーム首位の.450、本塁打1、打点6という結果を残し、WBCベストナイン候補に名前が挙がったほどです。
この大会での活躍をきっかえけに「ラッキーボーイ」「世界の小林」という呼ばれるようになりました。
「世界の小林」はなぜ世界にしか通用しないのか?
小林誠司選手は、WBCでの輝かしい成績が嘘だったように、レギュラーシーズンに戻ると打撃不振に陥ります。そのため小林誠司選手は世界にしか通用しない選手と、プロ野球関係者やファンの間で呼ばれるほどます。
では「世界の小林」と呼ばれるほど活躍した小林誠司選手が、なぜ、リーグでは「セ界の小林」になれないのか、2つの理由を紹介します。
強肩だが打率が低い
小林誠司選手の最大の問題は、打てないことです。WBCでの小林誠司選手の打率は.450と驚異的でしたが、WBC前の巨人での打率は.204で菅野智之投手の打率.222よりも低く、あきらかに打撃に問題があります。
シーズン当初は打率が3割を超えることもありますが、その後調子を落とすことが多く、2020年と2021年は打率が2割を超えられないというありさまでした。
捕手に必要な「気づき」がない
捕手にとって大切なことは、打者をよく観察することだけでなく、グラウンドで今何が起こっているのかを常にチェックし、相手チームの考えを読んで裏をかくリードや指示を出すことです。小林誠司選手は捕手に必要なこの「気づき」が欠けているといわれています。
「世界の小林」を野球解説者はどう見ているのか?
小林誠司選手は巨人に入団して9年目になります。一人前の捕手になるには時間がかかるといいます。
現在、9年目となった小林誠司選手について、プロ野球界のご意見番たちはどのようにみているのでしょうか。ここでは野村克也さんと落合博満さんのコメントを紹介しまうす。
野村克也さんのコメント
最初に紹介するのは名将・野村克也監督です。WBC後には、小林誠司選手を大絶賛していました。
しかし、その後のシーズンでのふがいなさを見て、「小林誠司選手は一軍の捕手にも入れないレベル。捕手としての技術、リードについて基礎もできていない」「打撃不振以上に捕手として大切な技術が備わっていない」と酷評しています。
落合博満さんのコメント
次に紹介するのは、三冠王に3度輝いたプロ野球界のレジェンド落合博満さんのコメントです。落合博満さんは「打てる捕手が名捕手という考え方」や、勝利を挙げれば投手が褒められ、負ければ捕手が叩かれるというプロ野球界の状況にも苦言を呈しています。
小林誠司選手へは、2つの注文を付けて飛躍するヒントを与えました。1つ目はバッター打席に入ったら、自分が捕手ならピッチャーをどうリードして討ち取るかを頭に入れ、得意な球を引き寄せて打つことです。
もう1つは、素振りの練習をもっとして下半身の強化を図ることでした。落合博満さんは小林誠司選手を「セ界の小林」に成りうる素材と見ていたのではないでしょうか。
「世界の小林」は打撃が向上すれば「セ界の小林」になれる!
「世界の小林(KOBAYASHI)」こと小林誠司選手はWBCでは高打率をマークして大活躍でしたが、セリーグでは低打率で巨人の正捕手の座を得るには至っていません。
しかし、多くの野球評論家は捕手としての才能を高く評価しています。打力と「気づく」力を向上すれば「世界の小林」だけでなく「セ界の小林」になれる可能性はあるでしょう。