2022シーズンの春季キャンプが始まるとき、当時の阪神の矢野監督がシーズン終了後の退任を表明しました。矢野監督がシーズン前に退任表明した理由がわからないと球界が騒然となりましたが、実際の理由とはどのようなものだったのでしょうか。この記事ではその真相を探ります。
2022シーズンも終わり、プロ野球の各球団は2023シーズンに向けた体制づくりが始まっています。2022シーズンといえば、多くの阪神ファンにとってシーズン開始前の矢野監督の退任表明が大きな驚きでした。
すでに阪神では新しい監督も決まって新体制が動き始めていますが、いまだに矢野監督退任の理由がよく理解できないと感じているファンも多いようです。
この記事では、矢野監督退任の理由と経緯、シーズン前の退任表明が阪神のチームや周囲に及ぼした影響などについてみていきましょう。
プロ野球チームの監督がシーズン終盤やシーズン終了後に退任表明をしたり、シーズン途中でマスコミに嗅ぎつけられてシーズン終了後の退任が報道されてしまい、仕方がなく退任表明したりすることは今までにもよくありました。
また、選手がシーズン開始前にそのシーズン限りでの引退を表明することもたびたびあります。しかし、シーズンが始まる前のキャンプイン当日にシーズン終了後の退任を監督が表明することは前代未聞の話です。
どうしてそのようなことをしたのか、矢野監督自身が自分の言葉で次のように語っています。
「辞めるっていう、退任を発表するという決断をすることを自分の中ですごく悩んで。でも選手たちには嘘をつきたくない、正直でありたい、そういう思いもあって」
矢野監督としては2022シーズン終了後の退任は決定事項としてあり、周囲にも相談していたといいます。それを選手に黙っていることに耐えられないことや、自分の退路を断つことでチームの士気を上げようという思いがあったようです。
このようなシーズン開始前の退任表明は、矢野監督自身の性格も大きな影響を及ぼしていたのかもしれません。
選手や周囲に対して誠実でありたいという想いが強すぎるあまり、1シーズン通して自分の本心を押し隠しながら向き合うことが難しいと考えたことも背景として考えられます。
矢野監督は2021年シーズン終了後に一度、球団に対して辞任を申し出ています。2021年シーズンは優勝はできなかったもののリーグ2位とそこそこ良い成績で終わっています。通常なら監督交代論など出るはずもありません。
しかし、2021年シーズンは後半に大幅に失速したことから、ファンや球団内部、親会社から矢野監督の辞任を求める声が聞こえ始めていました。
矢野監督自身にもその声が届いていたようで、2021年シーズン終了後に辞任を申し出ていました。
辞意を伝えた矢野監督に対して球団は慰留して1年契約での続投が決まりました。ところが、このときに矢野監督を慰留した藤原崇起オーナー兼球団社長が、2022年1月1日付けで球団社長から外れています。
さらに、矢野監督留任を最も強く主張していた谷本修球団副社長も4月1日付けで球団の現場から離れました。
矢野監督を強く慰留した球団トップが2人とも親会社の意向で野球の現場から離れたことに対して、親会社が矢野監督の監督続投を望んでいないのではないかという憶測も流れたほどです。
より大きな力が矢野監督退任の流れを作ろうとしていることを察知した矢野監督が、先手を打ってシーズン開始前の退任を表明した可能性もあります。
矢野監督のシーズン開始前の退任表明により、さまざまな影響が出ました。異例の表明の影響についてみていきましょう。
矢野監督としては、シーズン開始前に自分の退路を絶つ表明をすることで、選手の士気を上げようと試みたのですが、結果は逆の効果となってしまいました。
阪神は開幕から9連敗して、かえって選手の士気を下げてしまう結果になってしまいました。
最終的に阪神は3位でシーズンを締めくくり、クライマックスシリーズ進出も果たしました。Aクラスを保ったことで、2022年シーズンの全体的な成績はまずまずといって良いものでしょう。
しかし、シーズン始めの失速の理由は、矢野監督の退任表目にあったことは間違いありません。
矢野監督のシーズン開始前の退任表明については球界のOBなどからも厳しい声が寄せられました。
特に厳しい声を挙げたのは落合博満さんです。落合博満さんは自身のYouTubeチャンネルで矢野監督の退任表明に付いての感想を問われて次のように語っています。
「辞めるひとのために誰がやる?プラスアルファとリスク、どっちが多いかといえばリスクのほうが多いと思う。矢野がどういう気持ちで言ったかそれは分からないけれども、どうせ言うんだったらシーズンの終わってからの方が潔いと思うけどね。体調不良なら体調不良でもいいし。なんかの理由を付けるんだったら付けてもいいし。それで辞める方が選手としてはありがたいんじゃないのかな
矢野に見いだされレギュラーになってゲーム出ている人間は、矢野が辞めるんだったらなんとか有終の美を飾らせようとかで必死にやるかも分からないけども、冷や飯を食ってる連中というのは『どうせ次誰か来るんだろ』というそっちの方が多いと思う。だからなぜあのタイミングでっていうのがね」
プロ野球は1チームあたり支配下登録は70人、一軍登録はその中から29人います。すべての選手が監督といい関係を築けているわけではなく、一軍登録されている選手であっても、不当な扱いをされている、自分の長所を生かしてもらえていないと感じている選手もいることでしょう。
矢野監督を信頼している選手は奮起する人もいるでしょうが、そうでない選手は気持ちが白けてしまっても仕方がありません。
落合博満さんのように厳しい声を向ける人がいる一方で、矢野監督を擁護する声も上がりました。特に矢野監督を擁護する人は、矢野監督の真っ直ぐな性格では、下手に隠し立てできないと言う声が多かったようです。
矢野監督の性格では、自分の本当の気持ちを押し殺しながら何事もないように選手に毎日接し続けるのは難しかっただろうと話しています。
矢野監督がシーズン前に退任表明したことについて、阪神ファンやプロ野球ファンはどのように思ったのでしょうか。Twitterからいくつか声を拾ってみましょう。
シーズン前から、この表明がいい方向に向かうのかどうか訝しがる声が上がっています。また、次期監督探しもこのときのファンが気になることでした。
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