野球の世界一を決めるWBCワールド・ベースボール・クラシックですが、参加国は意外と少なく、予選を合わせても28カ国です。なぜWBCの参加国は少ないのでしょうか。この記事では、野球の競技人口やWBCの参加国が少ない理由などについて詳しくみていきましょう。
2023年3月、野球の世界一を決めるWBCワールド・ベースボール・クラシックが開催されます。しかし、WBCの参加国は予選も含め28カ国しかありません。
2022年にカタールで開催されたサッカーのワールドカップは、予選参加国・地域は200を超え、本戦にも32カ国が出場しています。なぜ、WBCの参加国は少ないのでしょうか。
この記事では、野球のワールドカップともいえるWBCの参加国がなぜ少ないのか、少ない参加国でも開催する意義はあるのかなどを検証していきます。
サッカーのワールドカップを主催しているのはFIFA(国際サッカー連盟)です。国際組織が運営しているので予算規模も世界レベルとなります。
一方、野球のWBCを運営してるのは、WBCI(ワールド・ベースボール・クラシック・インク)で、MLB(メジャーリーグベースボール機構)とMLB選手会によって運営されている組織です。
WBCはアメリカ1国だけの組織で運営されているので、サッカー・ワールドカップと比較すると予算規模は格段に小さくなります。
WBCの参加国はWBCIの招待によって決まるため、予選に出たい国があっても、WBCIに招待されなければ参加できません。
さらWBCIの規模が小さいために予算の開催規模も広げることが難しく、参加国が絞られている現実もあります。
サッカーはプロリーグがほぼすべての国と地域にあり、世界中で人気の高いスポーツです。一方、野球の人気は一部の地域に偏っています。現在、野球のプロ野球リーグがあるのは以下の国です。
北米
アメリカや日本ではとても人気の高い野球ですが、世界的にはあまり人気のないスポーツです。世界的な人気の低さは競技人口からわかります。以下は、世界のスポーツごとの競技人口ランキングです。
1位:バレーボール 約5億人
2位:バスケットボール 約4億5,000万人
3位:卓球 約3億人
4位:クリケット 約3億人
5位:サッカー 約2億6,000万人
ワールドカップがあれだけ盛り上げるサッカーでさえ、競技人口ランキングは5位です。対して野球の世界競技人口はたった3,600万人しかいません。
野球は日本の競技人口はサッカーに次いで2位ですが、世界的にみると知名度や人気がまだまだ低いのが世界的にWBCへの興味が薄い理由と考えられます。
野球は実力通りの結果になることが多いです。番狂わせが少ないことも、弱小国ではWBC人気が盛り上がらない理由といわれています。
サッカーは守備を固めて相手のスキを伺い、カウンターでの総攻撃を仕掛けることで番狂わせを起こすチャンスも生まれます。
2022W杯では、日本が最強であったはずのドイツとスペインを破って予選リーグを1位通過したのも、番狂わせの結果といっていいでしょう。
しかし、野球ではサッカーで日本がスペインを破ったような番狂わせはほぼ起こりません。すでにアメリカや日本といった強豪国がある程度固まっている状況です。野球が普及していない国が勝てないのに参加したいと思わないのは自然なこともしれません。
参加国が少ないのにWBCを開催することには意味があるのでしょうか。WBCを開催する意義は、野球をグローバル化させることです。
現在はアメリカや日本、ドミニカ共和国などの強豪国に勝てなくても、30年ほど前には野球がほぼ行われていなかったオランダやイスラエルなどの国にプロリーグができて、それらの国では競技人口も増えつつあります。
今のところ世界的な広がりを見せていない野球ですが、WBCに向けて選手を集めて強化する国も出てきました。今後、野球を世界的なスポーツにしていくためにも、WBCを開催する意義は大きいでしょう。
WBCを続けていくことで、数十年後には現在のサッカーワールドカップと同じくらい世界中で注目される大会に成長する可能性もあります。
参加国が少ないのに、WBCを開催する意義は、野球をグローバル化させることにあります。現在は参加国が少なくても、将来的にはもっと大きな大会に成長するかもしれません。
今後の世界的な野球人気の広がりを期待しながら、2023WBCの熱戦に注目しましょう。