野球の投手の役割には「セットアッパー」というものがあります。勝ち試合の終盤を担当するのがセットアッパーですが、クローザーやリリーフとはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、野球のセットアッパーとはどのような役割なのか解説します。
現在の野球は、9回を1人の投手が投げきるのではなくて、複数の投手が役割分担をしながら継投するのが普通です。投手の役割には先発、リリーフ、抑えがありますが、リリーフの中にセットアッパーという役割があります。
セットアッパーとはどのような意味で、どのような状況で登板する投手なのでしょうか。この記事では、セットアッパーの詳細や日本の代表的なセットアッパーについて解説します。
セットアッパーとは、試合の終盤で自チームが勝っているか同点の状態の時に、抑え(クローザー)が登板する直前に登板して、相手に得点させずにクローザーにつなぐ役割の投手のことです。
自分のチームが勝っているか同点の試合展開で7回から8回に登板します。ただし、点差が大きく開いて勝ちが決まった状態で登板することはほとんどありません。
勝ってはいるものの、数本のヒットやホームランで簡単に逆転されてしまうような、僅差の状態で登板することがほとんどです。
セットアッパーの役割とは、テンポよく投げて相手の失点を許さずにクローザーに確実につなぐことです。
リードを保った状態で1アウト以上取ってクローザーにつなぐことができれば、セットアッパーにはホールドの記録が付きます。
セットアッパーとリリーフ、クローザーとの違いについて見ておきましょう。
リリーフとは、先発投手以外に試合に登板する投手のこと全員になります。先発のあとの中継ぎ、中継ぎのあとのセットアッパー、試合の最終盤を抑えるクローザー、これら全てがリリーフです。
言い換えると、セットアッパーとは中継ぎの1つの役割といえます。
セットアッパーとクローザーの違いとは、試合の最後まで投げるかどうかです。
セットアッパーは試合の最後まで投げないでクローザーにつなぐ役割の投手のことです。クローザーとは、セットアッパーから引き継ぎ、相手に得点を与えずに試合を占めることが役割の投手になります。
今までの日本の野球界において、代表的なセットアッパーとはどのような選手がいたのでしょうか。
日本ハムに所属している宮西尚生投手は、2008年から2022年までの通算15年で380ホールドと日本プロ野球史上歴代1位のホールド数を誇るセットアッパーです。
セットアッパーは肩に負担がかかるので短命な選手が多いと言われている中、14年連続50試合出場と、驚異的な記録を出していて、今後のセットアッパーとしたの記録の伸びが期待されています。
2007年から2018年まで投手として中日に所属して、現在は中日のコーチである浅尾拓也コーチは、2009年から2011年までの3年間だけで200試合以上登板してホールドを記録した、絶対的なセットアッパーでした。
先発登板がない中で、セ・リーグMVPや投手のゴールデングラブ賞も獲得し、2010年と2011年の中日のリーグ優勝に大きく貢献しています。
現在、巨人でコーチを務めている山口鉄也コーチは、2008年から2016年まで9年連続でセットアッパーとして60試合に登板しています。9年連続60試合登板は現在までのプロ野球記録となっている偉大な記録です。
育成契約から伝説的なセットアッパーに成長した選手として語り継がれています。
2005年に阪神を優勝に導いた伝説的なリリーフ、JFKのJ、 主に8回のセットアッパーを担っていたのがジェフ・ウィリアムスさんでした。
Fで7回を担うことが多かった藤川球児さん、Kでクローザーの久保田智之さんとの黄金の投手リレーを超える継投は、なかなか見られるものではないでしょう。