野球では、打者の実力を図る指標に打率というものがあります。打率はどのように計算されるもので、長打率や出塁率とどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、打率の計算方法と、プロ野球選手の打率の目安などをわかりやすく解説します。
野球には選手の実力を測るための指標がいろいろとありますが、打撃力を測る指標の主なものとして打率があります。打率はプロ野球の三冠王のタイトルの一つである首位打者を決めるための数字でもあり、野球では特に重要な指標です。
しかし、野球をやったことがない人の中には、打率の意味や計算方法がよくわからないという方も多いことでしょう。この記事では、野球の打率とはどのようなものなのかを詳しく解説します。
打率とは、打者の全ての打数の中で、安打を打った割合を計算したものです。打率が高い打者とは、安打を打てる打者であるということで、安定感のある打者だとみなされます。
反対に、打率が低い打者はあまり安打を打てない打者ということになり、打者としての安定感が低いとみなされることが多いです。
野球での打率の計算方法は、打った安打の数を打数で割るだけです。割り算だけで簡単にでき、以下の計算式で求めることができます。
打率 =安打数 ÷ 打数
例えば、2022年にセ・リーグで三冠王を取ったヤクルト村上宗隆選手の同年のペナントレースにおける成績は487打数155安打でした。そこから打率を出す場合は、次のような計算式で求めます。
村上宗隆選手の2022年のシーズン打率 = 155安打 ÷ 487打数 = 0.3182… ≒ 3割1分8厘
打率は、百分率ではなく歩合(割・分・厘)で表します。
打率を計算するときに気をつけたいのは、打数と打席数との違いです。
打席数とは打席に入った数です。打数は打席数から、四球と犠打は除いた打席数だけを数えます。打率を計算するときは、打席数で割らないように気をつけましょう。
打率と似ている打者の指標に、長打率と出塁率があります。打率と長打率、出塁率がどのように違うのかもみておきましょう。
長打率とは、打数が記録された打席で、打者がどのくらい進塁できたかを測るためのものです。
打率だけでは、単打も本塁打も同じ安打1本となってしまいます。また、本塁打数だけでは2塁打や3塁打が多いを正当に評価できません。本塁打を含めた長打を打てる選手を評価するための指標として利用されています。
長打率の計算方法は、塁打数を打数で割ります。塁打数とは、1本の安打で進塁できた塁数のことで、単打は1、2塁打は2、3塁打は3、本塁打は4で計算します。長打率は確率の計算ではないので、計算結果が1を超えることもあります。塁打数の計算式は次のとおりです。
長打率 = 塁打数 ÷ 打数
例えば、1試合で4打数で単打と2塁打を1本ずつ打った場合の塁打数は3になり、長打率は次のように計算します。
長打率 = 3塁打数 ÷ 4打数 = 0.75
出塁率とは、打者がどのくらい出塁したのかを表す指標です。安打数は少なくても、四球を見極める能力が高く出塁する回数が多い選手などを見極める事ができます。
出塁率の計算式は次のとおりです。
出塁率 = (安打 + 四球 + 死球) ÷ (打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)
打率との違いは、分母に四球と死球が、分母に犠飛が含まれている点です。犠牲フライを打っても打率は下がりませんが出塁率は下がります。なお、出塁率では、走塁妨害や打撃妨害、犠牲バントでの出塁は計算に入れません。
プロ野球選手の打率の目安とはどのくらいなのでしょうか。一般的にプロ野球選手の打率の目安は次のようにいわれています。
3割3分:超一流打者
3割:一流打者
2割8分:スタメン確実
2割5分:プロとして合格圏
プロとして名選手といわれるのは打率3割以上でしょう。打撃要員としてベンチ入りするのなら2割5分は欲しいところです。
打率2割台前半以下の投手以外の選手は、捕手、遊撃手など守備負担が大きいポジションで守備力が高いか、打率は低くても打てば高い確率でホームランという選手のいずれかでしょう。
高校野球では打率5割という選手もいます。これは、学校ごとの実力の差が大きく、投手力に大きな差があるためです。プロでは選手間の実力差が小さいことから、名選手でも10本中3本打つのがやっとという状態になります。
打率はバッターの実力を知るうえで重要な指標です。打率の計算方法はシンプルなので、気になる選手がいたら自分で計算してみると野球をもっと楽しめるかもしれません。