【プロ野球】トライアウトとは?意味や入団テスト・スカウトとの違いも解説
プロ野球シーズンが終わると戦力外になった選手を対象とし、12球団合同トライアウトが実施されます。では、トライアウトとはどのような意味があるのでしょうか。この記事では、プロ野球のトライアウトとはどのようなもので実施方法とはどうするのかなどについて解説します。
目次
プロ野球の12球団合同トライアウトの意味とは?
プロ野球の日本シリーズが終わり、1年間を通したシーズンが完全に終了してしばらくすると、12球団合同トライアウトが実施されます。プロ野球のトライアウトとはどのような意味があるものなのでしょうか。
この記事では、プロ野球の12球団合同トライアウトについて詳しくみていきましょう。
戦力外通告を受けた選手が受ける12球団合同の入団テスト
プロ野球の日本シリーズが終わってから1週間から2週間ほどすると、12球団合同トライアウトが実施されます。
12球団合同トライアウトとは、そのシーズン限りで戦力外通告を受けて自由契約になる選手が、他の球団との再契約を目指して受ける入団テストです。
そのシーズンに所属した球団からは残念ながら戦力外を言い渡されてしまいましたが、まだまだ現役のプロ野球選手として挑戦してみたいという選手が、現役続行を目指して受けることができる入団テストが12球団合同トライアウトです。
毎年、100人以上の選手がトライアウトを受けて、5%程度がNPB球団との契約を果たします。トライアウトを経てNPB球団と契約できた選手の中には、移籍後の球団で見事に復活を果たした選手もいます。
宮國投手✨
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巨人自由契約、トライアウトから
の復活勝利✨
オジサン🥸感動しました😭
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トライアウトから再契約の流れ
トライアウトからNPB球団との再契約に至る流れは次の通りです。
1. トライアウトでのテスト
2. 選手へ個別に通知
3. 再契約
なお、場合によってはトライアウト後に球団独自の入団テストを課したり、春季キャンプに参加させてから本契約を結ぶかどうかを決めることもあります。
スカウトとの違いとは?
戦力外通告を受けた選手の中には、トライアウトに参加せずにスカウトで次の所属球団が決まる選手もいます。トライアウトとスカウトの違いとはどのようなものなのでしょうか。
トライアウトとは、選手から球団へアピールするものです。スカウトとは、球団から選手に個別にオファーをして契約をすることです。
戦力外になってもトライアウトを受けずに次の所属球団が決まる選手がいます。そのような選手は球団側が必要だと考えてスカウトした選手です。
12球団合同トライアウトが始まった経緯
12球団合同トライアウトはプロ野球が日本で始まった頃からあったものではなく、1回目は2001年と、90年近いプロ野球の歴史から考えるとかなり新しいものです。どうして合同トライアウトを実施するようになったのでしょうか。
12球団合同トライアウトが始まる前は、球団ごとに個別に入団テストを実施していました。
しかし、チームの成績によってシーズンが終了する時期がチームごとに異なり、戦力外通告をする時期に大きな差があるという問題がありました。
クライマックスシリーズに出場できないチームは10月はじめに戦力外通告を始めていたのに対して、日本シリーズまで出場するチームは11月半ばに戦力外通告されることになります。
日本シリーズ後に突然戦力外を通告されても、すでに入団テストを終えて来季のチーム編成を固めているチームもあり、平等に機会が与えられないという公平感があったのです。
選手会が、戦力外通告される選手の入団テストを受ける機会の不平等を問題視して、12球団合同トライアウトの実施と、戦力外通告の時期を早めることを球団側に求めました。
その結果、戦力外通告は1次通告が10月1日からクライマックスシリーズ開幕前日まで、2次通告がクライマックスシリーズ終了翌日から日本シリーズ終了翌日まで(日本シリーズ出場チームは日本シリーズ終了5日後まで)と決まり、また12球団合同でトライアウトを実施することになったのです。
プロ野球のトライアウトの対象者
プロ野球の12球団合同トライアウトを受けることができるのはどのような人なのでしょうか。プロ野球のトライアウトの対象者について解説します。
プロ野球球団を自由契約となった選手
トライアウトを受けることができるのは、プロ野球球団を自由契約となった選手です。その年に自由契約となったり、前年に自由契約になって独立リーグなどで現役を続けていた選手がトライアウトを受けることができます。
NPB球団の元選手
2021年12月に実施されたトライアウトでは、日本ハムの現監督である新庄剛志監督が参加して話題になりました。
トライアウト挑戦のときの年齢は48歳ということで、大きな話題になりました。ほとんどの選手は現役選手の中で、新庄剛志監督がトライアウトを受けることができたのは、元プロ野球選手だからです。
現役選手だけでなく、過去にNPB球団に選手として所属していたことのある選手であれば、年齢や所属していた時期にかかわらずトライアウトに参加する権利があります。
一方、NPBに所属したことがない、独立リーグや社会人野球などの選手がトライアウトに参加することはできません。
プロ野球のトライアウトの開催形式
プロ野球のトライアウトがどのような形式で実施されるのかみておきましょう。
実施時期
トライアウトが実施されるのは、日本シリーズまで含めたその年のプロ野球の全日程が終了してからしばらくたった時期です。
日本シリーズは10月下旬から11月上旬に行われるので、トライアウトは11月中旬から12月上旬に毎年実施されています。
実施場所
トライアウトが開催される場所は、毎年各球団の持ち回りで運営を担当します。開催場所はその年の運営担当となった球団のホーム球場や練習場です。
2014年までは東西でそれぞれ1回ずつ開催されていましたが、2015年からは1回の開催となっています。
テスト形式
トライアウトのテスト形式は、特に決められた厳密なルールはありませんが、実践形式で行われます。
通常、投手は打者3人と、野手は複数の投手と4打席から6打席ほど対戦します。見ているスカウトから、セットポジションからの投球が見たいとか、バントが見たい、といったリクエストが入ることもあります。
投手と野手の両方で受験したり、投手が野手として受験したりすることも認められています。
観客の有無
トライアウトでは観客が入ります。コロナ禍で関係者しか入場できなかったこともありましたが、それ以外の年では観客を入れています。
2018年にソフトバンクが担当した時には、トライアウトの観客席を有料化したことが話題になりました。
参加回数の上限
NPB球団に所属していた選手であれば誰でもトライアウトに参加することができますが、1人が参加できる回数には2019年から上限が2回までと決められました。
なお、2回受けてオファーがなかった場合には、それ以降トライアウトを受けることはできません。
トライアウトのメリットと問題点
トライアウトは毎年100人以上の選手が参加しますが、実際に再契約に至るのはほんの数人というのが現実です。
しかし、トライアウトには選手が参加するメリットがあるともいいます。トライアウトのメリットと、問題点についてもみておきましょう。
メリット
トライアウトのメリットです。
オファーがなくても選手の気持ちに区切りが付けられる
戦力外通告を受ける選手の多くは、そのシーズンに1軍で活躍できなかった選手です。
自分の気持ちに区切りをつけるために、トライアウトに参加する選手も多く、家族を招待して現役選手としての最後の雄姿を見てもらう機会と捉えている選手もいるようです。
社会人野球や独立リーグからのオファーもある
プロ野球のトライアウトには、NPB球団のスカウトだけでなく、独立リーグや社会人野球のスカウトも見に来ています。
つまり、NPBからのオファーがなくても、独立リーグや社会人野球で現役を続けられる可能性もあるということです。
一般企業も人材探しに来ている
球場の中にはいませんが、球場の外の選手の出入り口のところには、一般企業の採用担当者も毎年たくさん押し寄せます。
体力があり、プロ野球という厳しい世界を経験した選手たちは、一般企業からも貴重な人材と考えられているためです。
野球選手としての道が終わったとしても、セカンドキャリアを見つける機会になるかもしれません。
プロ野球のトライアウト、
— たらお (@tarachannnew1) November 17, 2018
もはや野球選手としての
アピールではなく、一般企業のスカウトの場所になってて草w
警視庁からのスカウトはすごいなw pic.twitter.com/hFUO7jUhFN
問題点
トライアウトが不要だという声もありますが、どのような問題点があるのでしょうか。
再契約される選手はトライアウト前にほぼ決まっていることが多い
トライアウトの問題点として、トライアウトが形骸化しているという声もあります。
トライアウトで再契約に至る選手の多くは、トライアウト前にほぼ話がまとまっている事が多く、トライアウトを実施する意味はない、とトライアウトの裏側を暴露する元プロ野球選手もいました。
実際に、再契約に至る選手の場合には、シーズン中から他の球団のスカウトが調査を始めていることが多いので、トライアウトを実施する意味が本当にあるのかどうか、というところは問題点としてあるでしょう。
しかし、社会人リーグや独立リーグ、一般企業への道もあることを考えれば、選手のセカンドキャリアを開く意味はあるのかもしれません。