MLBの新ルール「ピッチクロック」とは?投球制限で試合時間が短縮できる?
MLBで2023年から導入されたピッチクロックとは、野球の試合時間が短縮できるといわれていますが、具体的にどのようなルールなのでしょうか。この記事では、ピッチクロックで投手と打者に課される時間制限とはどのようなルールなのか詳しくみていきましょう。
目次
ピッチクロックとは?
アメリカのメジャーリーグ、MLBでは2023年シーズンからピッチクロックという新ルールが導入されました。
試合を見ていると、投手も打者もピッチクロックで思わぬところでルール違反を宣告されている様子がありますが、いったいピッチクロックとはどのようなルールなのでしょうか。この記事では、ピッチクロックの詳細について詳しくみていきましょう。
野球の試合時間の短縮のためにMLBで設けられた新ルール
ピッチクロックとは、野球の試合時間を短縮するために設けられたルールです。2020年頃から急に議論が始まったような感じがありますが、実は2010年頃から検討が始まり、アメリカの大学野球などではすでに実験的に導入されてきました。
他のスポーツとは違い、野球には時間制限がありません。バスケットボールは1クオーター10分で4クオーターまで、サッカーは前後半90分ずつと試合時間が決まっています。
しかし、野球は9回までと回数で試合が決まっていて、時間に決まりはありません。日本のプロ野球のパ・リーグでは、2019年の試合時間の平均は3時間22分、この歳の最長は5時間21分でした。MLBでもだいたい試合時間は同じくらいです。
日本でもアメリカでも、野球のファン離れが進んでおり、その理由の1つがこの試合時間の長さだともいわれています。そこで、試合時間の短縮を図るためにMLBでは2023年からピッチクロックを正式に導入しました。
ピッチクロック導入により、MLBでは2022年と比較すると30分ほど試合時間が短縮されていて、導入効果が早速現れています。
メジャーリーグだけでなくNPBでも導入する可能性が?
野球ではMLBで導入されたルールは数年後には日本のプロ野球でも導入されることが多く、NPBでも導入が検討されています。早ければ、2025年シーズから、日本のプロ野球でも正式に採用される可能性があるようです。
ピッチクロックの時間制限ルールの詳細
ピッチクロックの時間制限のルールの詳細についてみていきましょう。ピッチクロックの時間制限はバッテリーと打者それぞれにルールが課されます。
投手がキャッチャーからボールを受け取ってから投球動作に入る時間はランナーの有無によって異なる
バッテリーの場合は、投手がキャッチャーからボールを受け取ってから投球動作に入るまでの時間に制限が加えられます。時間制限は塁にランナーがいる場合問いない場合とで次のように異なります。
- ランナーがいない場合:投手はキャッチャーからボールを受け取ってから15秒以内に投球動作に入ること
- ランナーがいる場合:投手はキャッチャーからボールを受け取ってから20秒以内に投球動作に入ること
どちらの場合も違反したときには、自動的に1ボールが追加されます。なお、ランナーがいるときに、牽制したり投手板を外した場合には時間はリセットされます。
打者にも時間制限もがある
打者の時間制限もみてきましょう。打者は、ピッチャーに課せられた制限時間の8秒前までにピッチャーに注意を向ける必要があります。
打者はピッチャーと違い、打席で静止する義務がなく、バットを揺らしながら構える人もいるので、打撃姿勢ではなく注意を向けることが義務とされています。
ピッチャーがキャッチャーからボールを受け取ってから、打者もランナーがいないときには7秒以内、ランナーがいるときには12秒以内にバッターボックスに入ってピッチャーに注意を向けなければいけません。
ピッチクロックのデメリット
ピッチクロックにはデメリットも指摘されています。
選手が慣れるまでルール違反が多発
MLBの2023年シーズンの当初は、選手が慣れずにピッチクロック違反を取られてしまう場面がよくみられました。バッテリーと審判の認識が異なる場合もあるようです。
シーズンが進むに連れて、ピッチクロック違反はみられなくなりましたが、今後、NPBでの導入時にも選手が慣れるまで大変かもしれません。
バッテリーと打者の心理戦の面白みがなくなる
ピッチクロックの導入により、投球前のバッテリーと打者の心理戦の面白みがなくなったという声もあります。
ピッチクロック導入以前は、バッテリーがサイン交換に十分な時間を掛ける余裕があり、時には何度も首を振るピッチャーに打者がイライラする様子を見せるような場面もありました。
しかし、ピッチクロックの導入により、何度もサイン交換をする余裕はなくなり、サインは一発で決めなくてはいけません。試合時間の短縮とともに、他のスポーツにはない野球だからこその面白みがなくなってしまったと嘆く声も聞かれます。