野球には「故意落球」というルールがあります。このルールは、攻撃側が不利になることを防ぐために作られたものですが、インフィールドフライとは何が違うのでしょうか。この記事では、故意落球が宣告される条件や、制定された目的などについて解説します。
野球には故意落球というルールがあります。故意落球が宣告されると、ダブルプレーにしたはずのプレーがバッターアウトだけになり、ダブルプレーでアウトにされたはずの走者が元に居た塁に戻されますが、一体何が起きているのでしょうか。
この記事では、野球初心者には理解するのが難しい故意落球についてみていきましょう。
故意落球とは、内野で取れたはずのフライに触ったあとで故意に落とす行為に対して、試合の公式審判員が宣告するものです。
故意落球が宣告された後、バッターはアウトになってボールデッドで試合が止まり、走者は元いた塁へ戻ります。
故意落球は、内野フライをわざと落球した場合すべてに宣告されるわけではありません。故意落球は宣告されるための条件がルールで決まっています。
故意落球が野球のルールブックに記載されたのは、アメリカでは1975年、日本では翌年の1976年です。
故意落球のルールがないときには、走者がいる状態で内野手が取れるはずのフライやライナーをわざと落として、ダブルプレーにするプレーが頻繁に起きていました。
フライとして捕球すれば、打者しかアウトできないので1アウトしか取れませんが、地面にボールを落とせば走者に進塁義務が発生するためダブルプレーにできるので2アウト取れます。
これでは攻撃側が著しく不利になり、ゲームの公平性が損なわれてしまうということで、わざとフライを落としてダブルプレーにすることを防止する目的で故意落球のルールが制定されました。
ちなみに、打球が飛ぶ方向では外野でも故意落球でのダブルプレーが成立しそうですが、外野では故意落球は成立しません。
外野手が外野のフィールドで、ダブルプレーを目的としてわざと打球を落とすプレーをしても、故意落球は宣告されません。
故意落球と同じように、意図的に内野手が取れるフライを落としてダブルプレーを狙うことを防止するルールにインフィールドフライがあります。
この動画のように、時として、サヨナラを誘うこともあるインフィールドフライと故意落球とはどのような違いがあるのでしょうか。この2つの違いについて解説します。
インフィールドフライは、バッターが内野にボールを打ち上げた時点で宣告されます。一方、故意落球は内野手が打球に触れないと宣告されません。
基本的に、内野に打ち上げた打球はインフィールドフライが宣告されるので、故意落球は内野手が触らなければ外野に抜けていくライナー性の当たりで起きることが多いプレーです。
インフィールドフライは、打者が内野に高く打ち上げた打球に対して宣告されます。また、バントフライはインフィールドフライの対象にはなりません。
しかし、故意落球はバントでもライナーでも、内野手が確実に1アウト取れたはずと審判に判断された打球に対して宣告されます。
インフィールドフライは、内野フライを打ち上げた瞬間に宣告されるものです。一方、故意落球は、内野手が一度、フライかライナーの打球に触れて地面に落とした後に宣告されます。
また、インフィールドフライと故意落球は走者の条件が異なります。インフィールドフライは、ノーアウトもしくは1アウトで、走者一塁二塁もしくは満塁のときのみです。
故意落球は、走者が一塁にいるとき全てなので、走者一塁のみ、走者一塁二塁、走者一塁三塁、満塁と、インフィールドフライのときよりも条件が厳しくなります。
インフィールドフライと故意落球では、宣告された後のプレー状態が異なります。インフィールドフライはインプレーなので宣告後もプレーが続行するため、思わぬ得点が入ったりサヨナラとなったりすることがあるのです。
一方、故意落球は宣告された瞬間にボールデッドとなりプレーが止まり、進塁した走者は元の塁へ戻されます。