プロ野球ではシーズン中にはよくトレードが話題になりますが、トレードの仕組みとはどのようなものなのでしょうか。この記事では、交換トレードや金銭トレードなどのプロ野球のトレードの仕組みや、メリットとデメリットについて解説します。
プロ野球には、日本でもアメリカでもトレードという仕組みがあります。2023年シーズンはメジャーリーグで大谷翔平選手がエンゼルスからトレードされるのではないかと大きな話題になっていました。
2023年シーズンでの大谷翔平選手のトレードはなくなりましたが、そもそもトレードとはどのような仕組みのものなのでしょうか。
トレードの仕組みや目的は日本のプロ野球とアメリカのメジャーリーグで違います。この記事では、日本のプロ野球のトレードについてみていきましょう。
日本のプロ野球でのトレードとは、球団同士の合意の上で選手を交換したり譲渡したりする仕組みです。MLBでは一部の選手にトレードの拒否権が与えられていますが、日本のプロ野球には選手側に拒否権はありません。
球団同士の話し合いでトレードを決めて、トレードの対象になった選手に球団のトレード移籍が告げられます。日本のプロ野球ではトレードを拒否した選手は任意引退しなくてはいけません。
トレードはプロ野球のシーズン中によく行われている印象がありますが、シーズン中しかできないのでしょうか。トレード期間はプロ野球のルールで決められていて、シーズン中というわけでもありません。
トレード期間は前年のシーズン終了後から、シーズン途中の7月31日までとされています。ただし、社会情勢等によって期間が変動することもあります。
2020年は新型コロナ禍で開幕が遅れたことから9月30日までトレードできました。2021年は東京オリンピックによる公式戦の中断が遭ったために8月31まででした。
トレードの方法には、交換トレード、金銭トレード、無償トレード、三角トレードの3種類があります。それぞれ詳しくみていきましょう。
交換トレードは、2つの球団の間で選手を交換するトレードです。実力が同じ位の選手であれば1対1でトレードされます。実力差がある場合などには1対2、1対3で行われる場合もあります。
金銭トレードは、選手とお金を交換するものです。相手球団にトレードで獲得するほどの選手がいなかったり、どうしてもお金が必要なときに金銭トレードに応じることがあります。交換トレードの次に頻繁に行われているのが金銭トレードです。
無償トレードとは、代わりの選手や金銭などの見返りは一切求めずに、無償で他球団へ選手をトレード移籍させることです。
近年では、日本ハムから巨人へ無償トレードされた中田翔選手や、広島から巨人へトレードされた長野久義選手、ロッテから中日へトレードされた加藤匠馬選手などがいます。
中田翔選手は日本ハムで起こした暴行事件で出場停止処分が課された上でのトレードでした。長野久義選手は野球選手としての最晩年を古巣で過ごさせたいという両チームの温情でのトレードだったようです。
加藤匠馬選手は前年にロッテにトレードされた選手でしたが、捕手がそろっているロッテでは出場機会がなかった上に、中日の捕手事情が苦しくなったことから、中日が連れ戻した形になりました。
三角トレードとは、3球団で合意の上で選手を三角形に回す形でトレードすることです。A球団からB球団に、B球団からC球団に、C球団からA球団に、と選手を移籍させます。
日本では例がないようですが、MLBでは過去に9人も移動する三角トレードが実施されたようです。
プロ野球でのトレードのメリットとデメリットです。
メリットは球団側と選手側それぞれにあります。
能力がありながら、その年の選手編成のバランスで出場機会に恵まれない選手というのがどうしても生まれてしまいます。
球団としては、出場機会に恵まれない選手のポジションを欲しがっている選手を放出する代わりに、補強が必要なポジションの有能な選手を獲得してチームを強化できます。
選手としては出場機会をより得られる球団に移籍することで活躍できる可能性を広げることができるでしょう。
球団側のデメリットとしては、どうしても欲しい選手の代わりに、有望な若手や放出したくない選手を放出せざるを得なくなる可能性もある点です。
トレードはその年のシーズンを勝ち抜くために行うためのものです。相手のスター選手を貰う代わりに、将来を担うはずだった若手の有望選手をトレードに出して、チームの将来が危うくなることともあります。
選手側のデメリットは、選手側には拒否権はない点です。拒否すれば引退するしかありません。どうしても、現在の球団で引退したい、他のチームに行きたくない、という場合には、実際にトレードを拒否して引退した選手もいます。